これまでに未来BOOKで80冊、スキャンピーで25冊ほどの本を電子書籍化しました。
この記事では、実際に未来BOOKとスキャンピーの両方を利用してみて分かったこと、感想などを書いています。
実際に利用してみなければ分からなかったことがあり、これから利用を検討している方の参考になればと思い、記事にまとめました。
未来BOOKとスキャンピーで電子書籍化した本のジャンル
今までに、電子書籍化したジャンルはこちら。
未来BOOK
- 展覧会の図録
- 写真集
- 雑誌
- デザイン・美術・建築関係
- 自己啓発書
- マーケティング関係
- 旅行書・紀行・ガイドブック
- 英会話、英文法
- 小説
- 文庫本
- 料理
- パンフレット
スキャンピー
- 文庫本
- アート、写真、建築、デザイン関連書
- 写真ムック
- 料理
- 旅行ガイドブック
- 旅行会話
- 美容本
- 自己啓発書
未来BOOKとスキャンピーで電子書籍化してみた感想
未来BOOKとスキャンピー、どちらも業務用では最高クラスのキャノン「DR-X10C」というドキュメントスキャナーが使われています。
それでも、スキャン後の品質や料金、納期には差があります。
私が未来BOOKとスキャンピーのどちらも利用してみた感想はこちら。
未来BOOKの場合
- スキャン品質が高い(作業が丁寧、傾きも少ない)
- スキャン時のコントラストが高め
- 料金が割高
- 最安の「いつでも納期」を選ぶと毎回納期が延びる
- オプションが豊富で融通がきく
①スキャン品質が高い(作業が丁寧、傾きも少ない)
スキャンピーと比べてページの傾きが目立ちません。
こちらは少し傾いているけれど、私としては許容範囲内です。
小説もこの通り。
下の台紙?なのか、余白なのかよく分からないけどそういった物も見られません。
不要なものはきちんとトリミングされているようです。
スキャンピーだと、下の画像のようなズレというか、余白が散見されます。
上の画像は実際にスキャンピーでスキャンしたページです。
画質や仕上がりにこだわりがあるなら、未来BOOKで電子化するのが無難です。
②スキャン時のコントラストが高め
デフォルトでコントラストが高めにスキャンされてしまいます。
下の画像は料理本ですが、クリームの部分の白飛びが気になります。
好みにもよりますが写真やイラストが命の本に関しては、一冊当たり1,100円(税込)の「低コントラストスキャン」のオプションが必須だと思っています。
③料金が割高
こちらは、2020年に14冊スキャンした時の見積書。
これはあまりオプションを指定していないので、まだ安い方です。
スキャン料金は本のページ数ではなく、高さ(縦のサイズ)ごとに設定されています。
※料金表は画面が小さいスマホなどでご覧の場合、横にスクロールできます。
本の種類 | スキャン料金(一冊当たり) | サイズ |
普通サイズ | 110円 | 高さ22cm以内 |
大判サイズ | 330円 | 高さ42cm以内 |
特殊書籍 (画集・美術書など) | 1650円 | 未来BOOKでの判断 |
ただ、スキャン料金は納期によって変わってきます。
納期 | 料金 |
いつでも納期 | 0円(加算なし) |
ゆっくり納期 | スキャン料金から+110円 |
通常納期 | スキャン料金から+220円 |
急ぎ納期 | スキャン料金から+330円 |
普通サイズの本で「いつでも納期」だとスキャン料金は110円ですが、ゆっくり納期にすると+110円加算され220円になります。
最安の「いつでも納期」を指定しても、下記の仕様を追加していくと一冊あたりの料金がじわじわと上がっていきます。
- カラー仕様(おまかせorオールカラー):一冊あたり33円
- カバー2面スキャン:一冊あたり33円
- OCR処理:一冊あたり110円
カスタム仕様を指定しない限り、スキャンピーより若干高い程度に収まるのですが、カスタム仕様を指定すると料金が跳ね上がります。
本によっては一冊あたり1,100円の低コントラストスキャンをつけたり、ミリ裁断や傾き補正をつけたりすると一冊あたりのスキャン料金が千円を軽く超えてしまいます。
④最安の「いつでも納期」を選ぶと毎回納期が延びる
納期は以下の4つから選べます。
- いつでも納期
- ゆっくり納期
- 通常納期
- 急ぎ納期(50冊以上の書籍は対応不可)
私はほぼ毎回、最安の「いつでも納期」を選択しますが、納期は当初の予定よりほぼ遅れます。
直近で今年の春に納品されたデータは当初、3月2日に納品される予定でしたが「納期延長について(お詫び)」というメールが届き、メールには「3月30日までに納品します」と書かれていました。
実際に3月30日、約束通りに納品されました。
それ以前だと、2020年12月22日納品予定が「2021年1月14日」に延長し、実際に納品されたのは2021年1月12日。
一冊など冊数が少なければ遅延はほとんどありませんが、10冊前後からそれ以上の冊数のデータ化を依頼すると、だいたい二〜三週間ぐらい遅れている感じです。
一度だけ「ゆっくり納期」で一冊だけスキャンを頼んだことがありますが、2月4日にデータ化を申し込んで、納品されたのは3月8日。
この時は遅延はありませんでした。
通常納期と急ぎ納期では頼んだことがないので、通常と急ぎで納期の延長があるかどうかは定かではありませんが、いつでも納期で10冊以上依頼する場合、納期が遅れることは覚悟しておいた方がいいでしょう。
⑤オプションが豊富で融通がきく
無料・有料のオプションが豊富で、オーダーメイドスキャン(有料)にも対応しているので、こだわってスキャンしたい美術・デザイン関係や写真集も安心して出すことができます。
一冊当たり110円のOCRサービスをはじめ様々なオプションの利用で、希望に近い形で電子化することができます。
他サービスだと表紙スキャンがなかったり、雑誌や写真集、画集などのスキャンは受け付けていなかったりする中、未来BOOKは色々な形の書籍のスキャンに対応してくれるところが強みだと思います。
未来BOOKについては、こちらの記事で詳しくレビューしています。
スキャンピーの場合
- スキャン後のページの傾きが気になる(個体差あり)
- スキャン後のページの左右に余白が見えている(トリミングされていない)
- コントラストは未来BOOKより落ち着いている
- 料金が割安
- 納期が早い
①スキャン後のページの傾きが気になる(個体差あり)
公式サイトによると、3°以上の傾きがないようデータチェックはしているとのことです。
さすがに3°の傾きはあり得ないし修正レベルの品質だと思います。
ただ、3°も傾いていなくてもこれは気になります。
実際にスキャンピーでスキャンしたページの一部です。
こちらも。
未来BOOKの場合、ここまでの傾きはほとんど見られません。
もう一度本を買って、未来BOOKに出そうかと本気で思ってしまうぐらい気になる傾きです。
もちろん個体差はあって、傾きが目立たないページもあります。
スキャンピーには未来BOOKのような傾き補正のオプションがないため、仕上がりは運まかせとしか言いようがありません。
②スキャン後のページの左右に余白が見えている(トリミングされていない)
先ほど載せた画像にも見受けられる左右の余白?グレーの線?台紙が見えている?のかよくわかりませんが、ページの両端もしくは片方の端に、変な線がありますよね。
これも個体差があったりしますが、表紙や内部のページに高確率で出てきています。
こちらは表紙。
う〜ん、左右をトリミングして欲しかったな…と思います。
こちらも、右側に余白が出ています。
未来BOOKと同じスキャナーを使っているのに、仕上がりに差があります。
こちらは未来BOOKでスキャンした表紙。
スキャンピーの安さゆえに仕方のないことかもしれませんが、比べてみると仕上がりの差が歴然としています。
③コントラストは未来BOOKより落ち着いている
色合いに関しては、未来BOOKの場合コントラストが高めに出てしまう傾向があり、低コントラストスキャンを指定しないと白飛びや黒つぶれが気になってしまいます。
下の二枚の画像は、未来BOOKで低コントラストスキャン指定なしでスキャンしたもの。
元の写真が明るめではあったけれど、元のページ以上に白飛びしています。
こちらは元のページよりも全体的にかなり暗めになってしまい、黒つぶれも気になります。
その点、スキャンピーの場合、コントラストは未来BOOKより落ち着いていて、白飛びや黒つぶれの心配はほとんどありません。
こちらはスキャンピーでスキャンした料理本。
コントラストが強すぎず、安定した色合いです。
黒つぶれしやすい影の部分も、気になるレベルの黒つぶれはありません。
モノクロのページもこの通り。
白飛び、黒つぶれが気にならないのがスキャンピーのいいところ。
未来BOOKだと通常のコントラストに抑えるために1,100円ものオプション料金が必要なのに、スキャンピーは一冊あたり130円ほどでコントラストが安定した仕上がりになります。
同じスキャナーを使っていて、ここまでの違いがあるのは作業工程や方法の違いからだと思いますが、未来BOOKとスキャンピー、足して二で割るとちょうどいいのになと思います…。
④料金が割安
2020年に15冊まとめてスキャンした時の明細書。
未来BOOKに比べると「すごく安い…!」と思いました。
先に挙げた未来BOOKで15冊電子化した時の明細は送料も含んでいますが、オプションを追加して合計で6000円を超えています。
スキャンピーは300ページまでの本の場合、スキャン料金は
基本作業料80円+おまかせ便料金50円+OCR処理料金=210円/一冊
ちなみに未来BOOKも、普通サイズ(いつでも納期)が110円に値下がりしたので、OCR処理をつけても210円/一冊。
料金的には同じですがスキャンピーの場合、二週間ほどで納品されています。
未来BOOKのいつでも納期は2ヶ月ほどかかります。
コントラストを抑えるためのオプションをつけるとスキャン料金が跳ね上がります。
スキャンピーの画質は白飛びや黒つぶれがほとんどなく安定しているし、コントラストを上げ下げするようなオプションはありません。
シンプルな料金体系だからこそ、割安な料金で電子書籍化できるのだと思います。
⑤納期が早い
通常便で20冊までだと15日ほどで納品されます。
同じ冊数で比較すると、未来BOOKのいつでも納期は約60日(延長する可能性あり)なのに、スキャンピーは二週間ほどで納品されます。
未来BOOKの急ぎ納期並みの速さではないかと思います。
実際、14冊の本を2020年6月29日に注文して、納品されたのは2020年7月14日でした。
未来BOOKの「いつでも納期(約60日)」でしか頼んだことがなかった私にとって、この速さは尋常ではなかったです。
安さと早さはスキャンピーに軍配が上がりますが、その分、仕上がりの丁寧さが犠牲になっていると思います。
未来BOOK VS. スキャンピー比較表
未来BOOKとスキャンピーを表で比較してみました。
どちらが良くてどちらが悪いという話ではなく、どちらも得手不得手があるので、うまく使い分ければいいんじゃないでしょうか。
画質にこだわり、丁寧な仕上げを望むなら未来BOOK。
コストと早さ重視ならスキャンピー。
写真集やデザイン、イラスト関係など絵や写真が命の本は未来BOOKがいい。
文字主体の小説(中はモノクロ)で、読めればいいというレベルならスキャンピー。
こだわりの本は未来BOOKに出して、そこまでこだわらない本はスキャンピーに出すという使い分けがいいんじゃないかと、私は現時点で思います。
※表は横にスクロールできます。
未来BOOK | スキャンピー | |
スキャナー | キャノン DR-X10C | |
料金 | 納期短縮やオプションをつけると高くなる | シンプルな料金体系で割安 |
仕上がり | 丁寧な仕上がり。 傾き補正がなくても傾きはさほど目立たない | 傾きと左右の余白が気になる |
色合い | 何も指定しないとコントラストが高め | コントラストは安定している |
オプション | 豊富。 オーダーメイドスキャンにも対応している | オプションは少ない。 表紙、カラー、OCR、端末最適化など |
スキャン不可 |
湿気やカビなど状態が悪い本は要問い合わせ。 |
|
納期 | 早く仕上げるには追加料金が必要 | 追加料金なしでも十分に早い |
支払い方法 |
|
|
集荷サービス | 全国一律1,100円 | なし |
ネット書店直送 |
※ヤフーオークション、メルカリはNG |
上記以外の書店でも直送可能 |
まとめ
未来BOOKとスキャンピー、両者とも同じスキャナーを使っているにも関わらず、画質や料金、納期には差があります。
私が実際に両方とも使ってみて感じたことをおさらいすると、
未来BOOKは
- スキャン品質が高い(作業が丁寧、傾きも少ない)
- スキャン時のコントラストが高め
- 料金が割高
- 最安の「いつでも納期」を選ぶと毎回納期が延びる
- オプションが豊富で融通がきく
スキャンピーは
- スキャン後のページの傾きが気になる(個体差あり)
- スキャン後のページの左右に余白が見えている(トリミングされていない)
- コントラストは未来BOOKより落ち着いている
- 料金が割安
- 納期が早い
こんな印象を持っています。
航空会社に例えるなら、未来BOOKはフルサービスキャリア、スキャンピーはLCCというところでしょうか。
例えが分かりにくかったらすみません。
スキャンピーの方はスキャンできる本の種類が少なく制約が多いですが、安くて早いのが魅力。
未来BOOKは料金が高く納期もかかりますが、オーダーメイド対応もあり、多様な要望に応えてくれるのが魅力。
未来BOOKとスキャンピー、両者ともに一長一短あります。
完璧なサービスなんてこの世には存在しないので、コスト、時間、こだわりポイントを照らし合わせて、自分に一番合っているサービスを選べばいいと思います。
ただ、一口に電子書籍化サービスと言っても色々なサービスがあり、実際の費用感や仕上がりを想像しにくい面があります。
電子書籍化サービスは未来BOOKとスキャンピーだけではありませんが、多くのサービスから自分に合う所を選ぶための判断材料として、この記事を参考にしていただければ嬉しいです。